【コラム】調子が良い、そんな時こそご用心

こんにちは、皆さん元気に登ってますか!台風の影響で不安定な空模様が続いていて、さらに来週の頭は関東地方直撃!?なんていう予報も出ていますので、くれぐれもお気をつけください。台風が一つ通り過ぎる毎に秋が近づいてきていよいよ待望のクライミングシーズン!

さて、表題に「調子が良い、そんな時こそご用心」と書いたのですが、ことわざで

勝って兜の緒を締めよ

というまさに表題の意味を表した言葉がありますね。
これは戦に勝ってほっと一息ついた時に敵が攻めてこないとも限らないから油断せず、兜が脱げないようにきちんと紐(緒)を締め直しておきましょう、という感じの話だったと思いますが、今思うとこんな言葉を作ったのっていつの頃の人なんでしょう。

気になってググってみたら意外と歴史のある話が出てきました。

初陣は16歳の時。北条家の宿敵扇谷上杉朝興と戦い、敗走させた。
 1538年には第一次国府台の戦いで古河公方足利義明・安房(現在の千葉県南部)の大名里見義堯を破る。

 1541年に氏綱が死去。氏康が北条家の実質的な当主となる。
 ちなみに、「勝って兜の緒を締めよ」とは、このとき氏綱が遺した言葉である。

北条 氏康 – 学問の街 ゆーけーTOWN
http://www.geocities.jp/uk4192/history/ujiyasu.html

というわけで北条氏康の言葉だそうです。400年この言葉が受け継がれるんだから凄い話だなー。

話を本題に戻します。

自分の経験や周りの人を見ている感じで「最近調子が良くて、◯級が登れるようになってきたんです!」という人ほどそれからほどなくして怪我してしまって今は登れないんです・・・という事がとても多いように思います。(これこそアンケートを取って調べてみたい(笑)怪我をする場所は様々で膝の靭帯だったり、ハムストリングだったり、足首ひねったり、指をパキったり。。。

その事が数値上どの程度信憑性があるのか、というのはともかく、仮に「調子がいいと怪我しやすい」というのが事実だとすると、どうして怪我しやすくなるのかという事を考えてみました。

まずは調子がいいってどういうことか、どういう時に調子が良いと感じるのか。

これはもう、「出来なかった課題が登れた」事や「止められなかった1手が止められた」事が何回か続いた時と言っていいでしょう。
クライマー・ボルダラーの場合1回登ったことがある課題を日々必ず反復しているという人はほとんど居ないと思うので(本当はやったほうがいいんですよ!)前に登った課題がとても気持ちよく登れたから調子が良い、と感じる人は少数かなーと(笑。

では「出来なかった課題が登れた」時ってどういう時か。
体、または頭がその動きに適応して今まで必要なだけの力を出力出来なかったタイミングで出力出来るようになったり、もしくは出力するための体勢を作ることが出来るようになったりしたという事ですね。そしてそうした事が立て続けにあった。

とするとどうなるか。

クライミング・ボルダリングの課題は基本的には
・ホールドが持ちやすい、持ちにくい
・距離の遠近
・動きがしやすい、しにくい(バランスが悪いなど)
といった要素で構成されています。

これまで出来なかった事が出来るようになった時、
持てなかったホールドを充分な力で保持出来るようになったのだとしたら指により負担がかかるでしょうし、肘、肩にも負担がかかるでしょう。
ホールドは良いんだけど、遠かったホールドに届くようになったのだとしたら、指ももちろんですが、肩、膝、腰にも負担がかかるでしょう。
(具体的な場所をあげていますが、決してそこにだけ負担がかかっているというわけではなくて、わかりやすい場所としてあげています)

というわけでいつもよりも大きな負担が体にかかっている可能性が高いです。

そして、調子が良い、色々な課題を完登出来る、完登の可能性が見える、となるとどうなるでしょう。
クライミング・ボルダリングは結構中毒性が高いです。仕事中もあと一歩で出来そうだったあの課題、この課題の事ばかり考えてしまって仕事が手がつかない。これはもう行ってしまって登ってしまうしか無いな!と、なるともう後は勢い良く仕事を片付けて定時で退社、クライミングジムへ一目散。

うーん、良くありそうな話ですね(笑
そしてさらにその課題が登れたりしたらまた新たに登れそう、登れた課題が見つかって・・・・。

といった感じできっと頻度が上がりますね。

1回の体の負担が上がっている、さらに登る頻度も増えている、という事はいつもより急速に疲労が溜まっていきます。
体の回復力は運動によって促進される部分もあるので多少高まるかもしれませんが、それでも、今まで1週間に1回、運動後は6日休めていたものが週に2回となると間で休める時間は3日、3回となったら2日満足に休めません。これではなかなか体が回復出来ません。

それでも、常にクライミングをしていて、頭もクライミングの事を考えている時間が長くなって、どんどん体が、神経がクライミング向きに作り変えられている時は非常に「調子がいい」です。登れない課題もどんどん登れるし、出来そうもなかった事がどんどん解決していく、最高の気分ですよね。

体にはどんどん疲労が溜まっていって、体中のあっちこっちが固くなって動きにくくなる、でもそれよりも登る爽快感、完登の喜びが勝って気がつかない。
ある日、ふとした拍子に・・・・。

プツッ

といってしまう。

あの瞬間の後悔とも悲しみとも言えない気持ち、なんていうんでしょうねー。
どんなに悔やんでも時間は元に戻らないですし、切れた腱が魔法のように繋がる事はありません。
ここからはパチっとスイッチを切り替えていかに早く復帰するか、という勝負が始まるわけですがそれはまた別の話。

というわけで、「調子がよくなると怪我をする」というのはこんなプロセスで起きているのではないかと想像しています。
あくまでも僕の想像です。自分の経験的や周りのクライマーを見ててこんな感じなんじゃないかな、という話です。

いやいや、実際はこういうことなんですよ、という話があったら是非教えて下さい!

というわけで、クライミングシーズン間近!このタイミングで怪我はしたくないものですね。
なんか当てはまるなーと感じた方、たまにはマッサージにいったり温泉に行ったりして体と心を緩めてあげてください。
ほぐしてみると、思いのほか疲れてた!ってなるかもしれませんよー!

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